【たぴ小説】旅立ちの微風。私の心は、#4

旅行

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第四章

心の扉を開いて

滝の音は遠ざかり、
私たちは静かな森の中で
新たな一日を迎えた。

朝の光が木々の間を縫って地面を照らし、
目覚めの一時が神聖なものに感じられた。

ハルが火を起こし、私は朝食の準備を手伝う。
行動を共にすることの心地よさに、
言葉は必要ないと再確認する。

朝食後、私たちは森を抜けて
村へ戻る道を歩き始める。

先の滝での出来事が、
互いの心の隙間を埋めたような
気がしていた。

自然の息吹が、
新しい関係の確固たる礎を築いていく。

「今日のルートは昨日よりも楽そうだね」
とハルが言い、
私は微笑んで同意する。

想いが同じ方向を向いたのか、
二人の足取りは軽やかだ。

昼頃、
一面の野草が広がる開けた場所に出る。
ゆらゆらと風に揺れる草原に、
ポピーの花が点々と彩りを添えていた。

私たちは草原の中を歩き、
花々の香りと色彩に包まれる。

ハルがふと立ち止まり、
深く呼吸をして周囲を見渡す。
「ここは特別な場所だな」と彼が言う。

私もその美しさに同感し、
さらに言葉を加えた。

「私たちの関係も、この草原のように
広がっていくかもしれないね。」

ハルは少し照れくさそうにしながらも、
嬉しそうにうなずく。
そこで私は決心した。

ハルに対する深い愛情を隠さずに
伝える時間がきたのだと。

私たちは草原の中心にある大きな樹の下で
休憩を取ることにする。

樹の根元は自然が作り出した
最高のベンチのようだ。

座ると、ハルは私をじっと見つめ、
何かを伝えようとしている。

彼の目は真剣で、
いつもの茶目っ気が消えていた。

「実は、ずっと言おうとしてたことがあって…」
ハルの声が少し震えている。

息を飲んで彼の言葉を待つと、
心をつかむような温かみを込めて続ける。

「お前のことが好きだ。ただの友達以上の、
もっと深い意味でね。」

私の頬は熱くなり、
心の中で何かが崩れ落ちた。

私はハルの手を握り、
はっきりとしながらも柔らかく答える。
「私も同じように感じてる。ずっと前から。」

互いの心が通じ合ったその瞬間、
私たちはしっかりと抱きしめ合い、
今までとは違う新しい絆を確認した。

恋人としての一歩を踏み出した私たちは、
これまでにない幸福感を共有していた。

草原を後にし、手をつないで村に向かう途中、
ハルが笑顔で言う。

「一緒に新しい世界を見に行こう。」
その提案に私は心から同意し、
二人で共に築き上げていく未来を夢見た。

私たちの内なる扉が完全に開いた。
隠されていた感情が解放され、
深い愛の告白が交わされる。

互いに強い絆で結ばれ、
冒険の道連れとしてだけでなく、
愛する人として手を取り合うことを選んだ。

これからの物語は、
新たな恋の輝きで照らされる。